導入事例
株式会社SMBC信託銀行
手間と時間のかかる郵送での手続きをデジタル化
コミュニケーションスピードの向上で機会損失を回避
(右から)デジタライゼーション推進部 部長 小田 亮介氏
デジタライゼーション推進部 川嵜 健一郎氏
事務統括部上席推進役 渡辺 美都子氏
デジタライゼーション推進部 三島 百合絵氏
CX推進部 奥山 雅代氏
SMBCグループに参画して10年を迎えたSMBC信託銀行は、外貨・不動産・信託のソリューションプロバイダとして、お客さま、社会とともに成長する信託銀行として日々努めている。同行は、グループ全体で注力する経営指針に即して、一部手続き業務のペーパーレス化を実施、そのツールとして「カミレス」を採用いただいた。今回は「カミレス」を導入いただいた経緯とその効果について、CX推進部の奥山氏、事務統括部の渡辺上席推進役、デジタライゼーション推進部の小田部長、三島氏、川嵜氏に伺った。
- 【課題】手続きは郵送対応のみ そこにかかるリードタイムが機会損失にもつながっていた
- 【選定】紙帳票のイメージをそのまま活用可能 違和感のない導入の実現が決め手だった
- 【運用・評価】顧客とのコミュニケーションスピードが格段に向上 社内のデジタル化に対する苦手意識にも変化が
- 【今後】ネットサービスを充実させ、さらなる顧客満足度の向上を図る
【課題】手続きは郵送対応のみ そこにかかるリードタイムが機会損失にもつながっていた
ソシエテジェネラル銀行を前身とするSMBC信託銀行は、SMBCグループに参画して10年を迎えた。外貨・不動産・信託の各領域におけるビジネスを手がけ、さらにシティバンク銀行のリテール事業を新ブランド「プレスティア」として展開している。
「SMBCグループ全体が近年注力していることとして、世界が直面する社会課題の拡大深刻化や日本が抱える社会課題などを踏まえた経営環境の変化を捉え、企業市民として取り組むべき責務、またサスティナビリティ推進における重点課題として①環境 ②DE&I・人権 ③貧困・格差 ④少子高齢化 ⑤日本の再成長 の5つを掲げています。さらに、これらの解決に向け10のゴールを定めており、経済価値とともに社会的価値の創造に取り組んでいます。この社会的価値創造は各事業部の業務計画にも紐づけていて、今回取り組んだペーパーレス化はその一環でもあります。」(渡辺氏)
グループとして目指す経営指針にのっとった取り組みの一環ではあったものの、もともと運用する中での課題も感じていたという。
「取引は電話で完結するんですが、住所変更や名義変更などの申請手続きは紙のみの対応になっていました。電話でお問い合わせいただいた後に紙を送ってもらうわけですが、こちらからの郵送を待つ時間や、途中で断念されるお客さまも少なくありません。また、店舗数が少ないこともあって、ご来店が難しい地域の方にご利用いただくにもWeb上で手続きを完結できるようにする必要性を感じていました。」(渡辺氏)
奥山氏は別の課題も感じていたという。
「店舗の少なさをカバーするために郵送での対応を充実させていました。ただ、郵送だとやはり双方ともにかなりの手間を要しますし、不備があれば同じ手間が再び発生します。デジタルで手続きできるものも多い今、たとえお客さまのご依頼に応えるためのやり取りであったとしても、その手間でお客さまの満足度も相殺されてしまう。コミュニケーションコストに相対する顧客満足度は得られていないと感じていました。」(奥山氏)
「銀行での手続きというと紙に印鑑・サインが必要というのが従来です。ここをどう脱却するか、逆に言えば脱却すればデジタル化できるということです。当行のお客さまは外国籍の方も多く、比較的インターネットバンキングには慣れている方が多い。もともと事業計画上にもペーパーレス化への取り組みは入っていましたし、途中コロナ禍で郵送が滞ることも経験しました。そこで、私たち事務統括部、システム部門、営業部門が連携し取り組むことになりました。」(渡辺氏)
【選定】紙帳票のイメージをそのまま活用可能 違和感のない導入の実現が決め手だった
もともと一部業務でSalesforceを導入していた同行。候補ツールはSalesforceと連携可能なものをはじめ3つほどを検討したという。
「いくつかの製品を検討する中で、『カミレス』を先行導入していたグループ会社からの情報などをもとに採用を決定しました。大きなポイントとしては現行の紙帳票をそのまま申し込みフォームとして使えるため、お客さま側も当行の行員にも馴染みやすかった点です。記入欄をそのまま入力フォームにするので、Web化も簡単でした。」(三島氏)
「製品の比較検討には3~4か月ほどかかりました。Salesforceに詳しいビジネスパートナーに入ってもらい検討、導入が決まってからはオプロのサポートもありスムーズに進めることができました。」(川嵜氏)
【運用・評価】顧客とのコミュニケーションスピードが格段に向上 社内のデジタル化に対する苦手意識にも変化が
こうして導入された「カミレス」は2023年11月から本格的な運用が開始された。
「対象となった帳票は日英合わせて20種類くらいです。月に発生する届け出数は1500~1600件ほどですね。対象となった手続きに外国籍の方の在留資格の確認というのがあるのですが、これもWeb手続きにしてみたらものすごく速やかにお手続きいただけて。また、手続きの不備が発生した時もメールでお知らせしたらその日のうちにご対応いただけるケースも。Web化の効果を実感しました。」(渡辺氏)
「カミレス」の導入は社内におけるデジタル化への取り組み姿勢にも影響したという。
「システムの導入やデジタル化ってハードルの高さを感じていたんですが、『カミレス』の導入を経験したことでデジタル化を進めていく自信がついた気がします。最近ではすでにリリースしている帳票の表記修正なども自分たちで行っています。システム開発というと予算を確保して、事前にガチガチに仕様を決めて、リリースしたら簡単には直せなくて...という感じですが、『カミレス』は自分たちで随時修正していきながらユーザビリティを向上していける。自分たちの取り組みの効果が実感できます。」(渡辺氏)
奥山氏は新たな利便性を発見したという。
「モバイルを使ったデータ入力が段違いに楽になりました。モバイルなので紙のフォーマットイメージではなく項目ボックスに入力していくんですが、これがシンプルでわかりやすかったんですね。お客さまからするとデータ入力するという観点では特に紙が見えなくても大丈夫なんだなと新たな気づきでした。」(奥山氏)
【今後】ネットサービスを充実させ、さらなる顧客満足度の向上を図る
今後の展望としてはどのような考えをお持ちなのだろうか。
「今後も帳票の追加を検討しています。今は電話でのサポートを充実させているんですが、こちらもチャットサービス等の無人対応に誘導するようにしたいなと思っています。あと、インターネットバンキングにもチャットサービスでのサポート機能を充実させ、Web上で完結できるようにしていきたいですね」(渡辺氏)
手続きの煩雑さからデジタル化のハードルが高そうな銀行業務だが、従来の紙帳票をデジタル化することで顧客や行員に違和感のない導入を実現したSMBC信託銀行。今回の取り組みをきっかけにさらに積極的なDXに取り組もうとしている姿勢に、ぜひオプロの技術とノウハウをもって貢献できればと感じる機会となった。